キハラハント愛の徒然日記

国連平和維持活動、国際人権法、国際人道法、法の支配、治安部門改革の分野で活動するキハラハント愛のブログです。

IOM

11月16-17日 難民・移民についての国際会議 プレナリー

JAHSS JASID conference plenary

11月16-17日、人間の安全保障学会と日本開発学会合同で
難民・移民・教育・雇用についての国際会議が
東京大学駒場キャンパスにて開かれました。
運営委員会の一員でもありました。
たくさんの方々に来ていただいて、ありがとうございました。
プレナリーは立ち見も出てしまいご迷惑をおかけしました。

プレナリーパネルの3人のスピーカーの方々と
コメンテーターの要旨を簡単にまとめたものを
英語ですが以下に公開します。

Plenary Panel (16 November 2019)

 

The plenary panel analyzed the global and Japanese trends on refugees and migrants. It was moderated by Dr. Ai Kihara-Hunt, the University of Tokyo.

 

First, Dr. Jeff Crisp of Oxford University identified recent global trends in relation to refugees and displaced people, and suggested that these trends created a "global refugee crisis." He argued that the international community had been too slow in addressing this situation. Dr. Crisp explained the importance of the Global Compact on Refugees, while identifying its weaknesses and limitations. He suggested that progress is being made at the operational level, in terms of the way that UNHCR and other actors are meeting the needs of refugees.

 

Next, Ambassador Eva Åkerman Börje of International Organization for Migration spoke about the Global Compact for Migration. She introduced key figures on migration and preceding initiatives of the international community leading to the Global Compact (endorsed by the UN General Assembly in December 2018). She referred to the contents of the Compact focusing on improving cooperation. She explained that its implementation is not static and introduced various networks for its implementation.

 

Following that, Prof. Saburo Takizawa, former Representative of UNHCR Japan Office, addressed the Japanese context for refugees and migrants. He explained that three drivers exist: economic driver as a pull factor, social driver as a push-back factor, and political driver that balances the two. He made a critical evaluation of Japan’s policy and society that Japan lacks humanity. The presenter then argued that Japan’s new immigration policy shows a paradigm shift.

 

Commentator Dr. Diana Kartika of the University of Tokyo introduced factors for Singapore’s closed-door policy, and stressed the importance of whole-of-society approach. She highlighted shortcomings in terms of inclusive education for migrants and displaced persons, and stressed the importance of addressing their pathways to employment.

 

(297 words)

Report by Dr. Ai Kihara-Hunt, the University of Tokyo



スウィングIOM事務局長 移民についてのテレビ討論会

2月24日、BSフジ、プライムニュースにて、
国際移住機関(IOM)事務局長のスウィング氏と、
法政大学の長谷川教授(もと国連事務総長代理:東チモール)とのテレビ討論会があり、
感想を聞いていただいたので、思うところを箇条書きに書き出してみました。

討論会はこちらから見られます。
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d160224_0.html


*日本は難民・移民に対して世界でも代表的な消極的な国であるのに、IOM事務局長が日本の支援を褒めるのみで、より積極的な難民・移民受け入れをするように説得しようとしなかったのは、IOM、国連の立場からしてとても不自然に思えた。特にシリアのように、本国を離れざるを得ない状況で国外に出てくる人々に対して、人道性という側面から日本に受け入れをするように促さなかったのは不思議である。「現実の問題として対処するべき」だけでは、具体的に日本にどうしてほしいのか全く伝わらない。
 
*IOM事務局長は、何度か移民・難民の受け入れに対する厳しい対応というのは「根拠のない恐れに根付いている」ということを言っているが、「根拠のない恐れ」だけで一掃してしまうにはあまりにも様々な正負の要因があるため、この事務局長のアプローチは良くない。

*全体として、移民が入ってくると日本には一体何かいいことはあるのか、日本の雇用、社会保障、財政、治安にマイナスな面ばかりなのであれば受け入れはすべきではない、経済などに良い影響があるのなら受け入れてもいいかもしれない、というような考察だった。日本が国際社会の一員として請け負う義務として、また、シリアのようにある一国の国民が少なくとも一時的に全く国内に住めない状態になった場合の国際社会としての対応、というような側面が議論に出てこなかったのは残念だと思う。

*受け入れ方にも色々な受け入れ方がある。年月の制限があるもの、社会保障についての制限のあるもの、定住ではなく一時的な受け入れ、など、様々な対処の仕方についても触れることができたら、より日本の人たちにとっても有益だったかと思う。

*番組制作側が、『移民=問題』という意識で番組をつくっていることが端々に出ている。例えば、コメンテーターが「欧州では移民によるテロの問題、雇用・財政の圧迫など」様々な移民の問題に直面しているということを質問ではなくコメントとして言っているが、間違った危機感を視聴者に与える可能性がある。テロの問題が移民とどこまで関係があるのか、などの分析なしに、移民とテロを結びつけてニュース番組でコメントしてしまうというのは危険である。また、同じコメンテーターが、「日本でも移民を受け入れざるを得なくなる」と言っているが、これも「移民=問題」という意識が前面に出ている。

*また、長谷川先生が番組内で指摘されていたように、番組制作側が、あたかもEU諸国が一番難民・移民に対して冷たい対策を取っているかのような印象を与える内容、コメントなどが多く、これは公正な内容ではないように思える。一方で、日本はあたかも難民・移民に対して多大なる支援をしてきたかのように番組が出来上がっていて、事実とは異なる印象を与える。

*長谷川先生のご指摘された、第二次大戦後ドイツが大戦とユダヤ人迫害などについて徹底的な教育をしたために人道的なことを重要視するドイツの立場が他のEU国に共有されていない、というのは面白い視点であり、なるほどと思った。

*シリアのような大量の戦争難民の問題と、相撲やラグビーを取り上げて何人外国人がいるか、というような話は、あまり相容れない。より良い生活を探求し、日本を目指して来る移民たちと、シリアのような緊急性が高く選択肢のないケースとは、全く性質が違う。大相撲会に15人の外国人力士がいるというような話と、10万人単位で身の安全の確保のために海を超える人たちの話とは、次元も規模も違う。シリア難民のような緊急性の高い人の移動は、特に受入国の文化やしきたりをどう敬うかとはあまり関係なく、一時的受け入れという形でも、人道的に世界がどう何とか対処していくかということが問題である。この場合、日本は世界を担う重要な一員として、この問題にどう対処していくか、ということを考えられなければいけないと思う。日本は世界とのつながりをもっと重要視していかないと、どんどん遅れ、孤立していく。

*技術面:IOM事務局長の声が半分残っているところに日本語の通訳の声を乗せてあり、聴きにくかった。
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