キハラハント愛の徒然日記

国連平和維持活動、国際人権法、国際人道法、法の支配、治安部門改革の分野で活動するキハラハント愛のブログです。

紛争

国際法と恥

国際法を教えていて、
また、国際人権法や国際人道法を研究・追及していて
毎回あたる壁がある。
それは、現時点においても国際社会というのは国家の集まりであって、
どんなに崇高な規定や原則であっても
国家の意思がないところで
それを強制することができないという壁だ。

そうは言ってもこればかりはあまりにもひどい、と
紛争に入る前の国際法として
他の国家に武力で介入しない(jus ad bellum)、とか、
紛争をやっていても関係ない文民は犠牲にしないようにしよう(jus in bello、国際人道法の分野)とか
ここまで来たら個人の責任を国際法が直接問うべきだという
戦争犯罪、ジェノサイドや人道に対する罪などの国際刑事法などが
人類の失敗の反省をもとに制定されてきたのだ。

もちろん国際法の違反は常にある。

ただ、国際法違反をする各国家が、
国際法は遵守すべきであって
自分の国家は国際法違反を非常な罪だと考えているという
少なくとも表向きの顔があって、
それを元に
国家が自分で宣言した自分の義務をベースにして
国家に責任を問うことができるという、
センシティブではあるものの
何とかバランスを取った枠組みが、冷戦後20世紀の間は機能していたと思う。

近年は、国連人権高等弁務官のザイド氏も言うように
国家が国際法違反をすることに恥も外聞もない。
ウクライナ、シリア、ロヒンギャ、コンゴ(DRC)、そしてガザ。
しかも、それぞれについて、情報はあふれていて、
重大な国際法違反であることはすぐに分析できる状態であって、
重大な国際法違反をしている国家の国民が
自分の国に対して反対意見を表明することについて、
1.規制が強化されていく国、
2.国民が反対意見を表明する意思が弱まっている国、
3.国民が反対意見を表明するのに疲弊、または効果が期待できずしなくなっていく国、
と、多様な要素から、効果が今一つ顕著に出てこないという面がある。
イスラエル兵を写真で撮ったら禁固刑だとか、
ハンガリーで難民に食糧を支援したら処罰されるのだとか、
国内法も国際法違反の可能性の高い内容が次々と。
国際法というのはもはや機能しないのだろうか。

私の指導教官だったフランソワーズ・ハンプソン先生は
「それでも各国は自国の行動を国際法に則って説明している。
明らかな国際法違反であっても、
国際法自体が意味がないというところには至っていないのだ。」と
数か月前のセミナーでおっしゃっていた。

それはもっともなのだけど...
残念ながら、無力感というのは否めない。
国連は国際の平和を推進するために各国の合意で設立されたのではなかったか。
国家が自国民であれ大量に殺戮することは
内政の問題などではなく
人類に対する挑戦なのだと、
国際人権法、国際人道法、そして国際刑事法という分野が
これだけの時間をかけて確立されてきたのではなかったか。

ここは人類にとって、頑張りどころだ。

戦争を抑止することについては、
キング牧師が言っていた、
“Those who love peace must learn to organize as effectively as those who love war.”
本当にその通りだ。
戦争をすれば大きなお金と力が動くから、
戦争をする側は瞬時に結束できる。
平和を持続させることに、
同じような瞬時の結束は期待できない。
だからこそ、セクターを超えて
世代を超えて、息の長い結束をしていかなければ。

ソウルでの女性、平和と安全保障会議

SEA panel

9月22日、23日、ソウルで行われた
女性、平和と安全保障についての
専門家会議に、専門家として招待されました。

女性が平和と安全保障にどのように貢献するか、というポジティブな側面と、
女性を紛争中や直後の暴力から
どのように守るか、というプロテクションという側面。

私は国際法から見た性的暴力についてのパネリストと、
国連平和活動要員が性的暴力を行わないよう防止し、また、そのような犯罪が行われた場合の訴追についてのパネリスト、2つを務めました。

簡単な報告書は
日本国際平和構築協会のこちらの記事からご覧ください。



アジアと人権、紛争と紛争後の社会再建

ここのところ博士課程の半年に1度の審査がもうすぐなので
バタバタとしていますが、
2月に「アジアと人権」という
エセックス大学の人権の修士課程の学生さん向けの授業で
紛争、紛争後の社会再建、あたりについて
授業を担当するので、
そのための参考文献リストを作りました。

今日担当の方に送りましたよー。

ネパール、スリランカと東チモールを例に、
人権という切り口で「人間」に焦点をあてて
切っていきたいと思います。

下記のコースです。
http://courses.essex.ac.uk/hu/default.aspx
HU922-7-SP-CO: HUMAN RIGHTS IN THE ASIA/PACIFIC REGION

紛争 x 創造

久しぶりの更新です。


久々の更新にご報告したいのは、

やっぱりこのイベントですね。


声優さん、アロマセラピストさんと、ワタクシ。
異例の分野の3人がコラボして生まれた、「紛争の中の日常」イベント @東京。


こんな3人のコラボ、新しい!

と思ったら、

やっぱりできあがってきたものも、新しかった!

そして、何よりも、参加者さんたちの反応が、ものすごく新しかった!


紛争と日常ということをテーマに、

初めちょっとかしこまった参加者さんたちと、ゲームから入ります。



ふらーり世界人のゆるゆるブログ


そして、声優さんと私と、声と写真で小朗読劇をさせていただきました。

そこでお伝えしたかったのは、紛争地の子供たちの声です。

この後、参加者さんたちに、どう朗読劇を受け止めたか、

ちょっと表現してもらうと、

「心がひりひりした」

「日本の子供たちと、何という差!」

と、ちょっと衝撃があった様子。


ゲームで和んだ場も、一気にシリアスに。


そこで、その「ひりひり」、全部、出しちゃいましょう!

ということで、

しょっと大きな巻紙の登場です。

じゃーん。


さぁ、皆さん、好きにしちゃってください。


ここからが私たちの想像をはるかに超えるクリエイティビティの世界です。



ふらーり世界人のゆるゆるブログ


ふらーり世界人のゆるゆるブログ


これは本当にびっくり!


皆、これだけの表現力を持っていながら、

普段は言葉でそれを表す世界で働いたり、勉強したりしているんですね。


できあがったアートは、東チモールのある県の青年会にお届けします。

それにしても、この企画、まだまだ次がありそうです。

今度は「食」も入れてみようかな。

コラボしたい方、一緒にやりましょう。
新しい分、チャレンジは大きいです。
でも、本当に楽しい、「創造」の世界でした。

ニュースの深層に出演します

5 childrenあさって、いや、もう明日ですね、
3月21日水曜日、
午後8時より、
「ニュースの深層」に出演させていただきます。

テーマは、国連が世界で展開するPKO(平和維持活動)についてです。

私の国連での仕事の正に第一歩であった、
東チモールを主にピックアップして、
色々とお話ししたいと思います。

「ニュースの深層」のページはこちらです。
http://asahi-newstar.com/web/22_shinsou/?cat=18

PKOの設立過程、成功の鍵、PKOでできること、大変さ、問題点
など、現場とアカデミックな世界の双方から切っていきたいと思います。

ご覧になれる方はぜひご感想などもお聞かせください。

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今週土曜日の、この企画も、いよいよ大詰めです。
声優さん、合同で企画しているアロマセラピストさんとも
綿密な打ち合わせが進んでいます。

3月24日、土曜日、青山アスタジオにて。
「紛争の中の日常」
難しく考える前に、どうぞいらしてください。
かなり面白い仕上がりになっているはずです。

このイベントでは、「国際法」とか、「人権が~」などとは一切言いません。

参加費も1000円に抑えましたので、ぜひどうぞ!

予約はaikihara*hotmail.com まで。
*を@に変えてご予約の人数とお名前、ご職業をお知らせください。

conflict ver3

お待ちしています。
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