キハラハント愛の徒然日記

国連平和維持活動、国際人権法、国際人道法、法の支配、治安部門改革の分野で活動するキハラハント愛のブログです。

国連警察

国連警察長会議(UNCOPS)

6月20-21日、国連本部で
2年に1度行われる国連警察長会議(UNCOPS)に参加して来ました。

国連加盟国の警察を管轄する省庁の大臣や警察の長が一堂に会する
大きな外交会議です。

国連側からは国連警察の警察顧問(Police Adviser)を始め、
国連平和活動の警察部門の長、
国連平和活動に関わる幹部も集まり、
とてもフォーマルな場です。

国連警察がどんどん危険で複雑な紛争の現場に入り、
国連も要員も攻撃の対象になるようになる中、
限られた人材と装備で
文民の保護や現地の安定化にも従事しなければならない
非常に挑戦の多い業務です。
それぞれの受入国のニーズに迅速にフレキシブルに対応し、
きちんとした装備と質の高い要員、
コミュニティとの対話に基づいて責任を持って業務を遂行できる国連警察。
これが一貫したテーマだったように思います。

個人的にはフィールド支援局(Department of Field Support)の
国連事務次長捕がスピーチの中で
「警察はコミュニティの中に入り
コミュニティとの信頼関係をもとに業務を遂行する機関であり、
要員の行動は人々に見えやすいので、
要員一人一人の行動がより重要」という点と、
「国連要員による性的搾取の申し立てについては
隠すことなく透明性を持って対処することが重要」とおっしゃいましたが、
私も拙稿の 'Holding UNPOL to Account' で
犯罪について全く同じことを主張しており、
この考え方が国連事務次長補にシェアされていることを
とても嬉しく思いました。

また、国連の警察アドバイザーである
Luis Carrilho氏とお話しした際に、
国連警察のアカウンタビリティに熱意を持っていらっしゃり、
彼の政務アドバイザーと共に
非常な興味を持って拙稿を参考にしてくださっていると伺い、
大変元気づけられました。


UNCOPS 1



以下、この会議のスピーカーのポイントを
自分と日本の国連代表部用に簡単にまとめた簡易メモを
公開します。
内容につきましては
あくまでも自分用のメモとして用意したものですので、
引用される場合には
国連からオフィシャルに発表される原稿をお使いください。

ーー

国連警察長会議

2018621

 

簡易メモ 

東京大学大学院「人間の安全保障」プログラム准教授 キハラハント 愛

 

オープニング

Maria Luiza Ribeiro Viotti, Chef de Cabinet, Office of the SG

  • 女性警察官の増加、ジェンダーに考慮した警察活動、被害者に重きをおく警察活動の重要性を強調。

 

H.E.José Ramos Horta,Norbel Peace Prize Laureate and former President of Timor-Leste

  • 国連警察の業務遂行の成功例としての東チモール警察。

  • 国連警察の業務の複雑さ。

  • HIPPO報告書において、政治的解決の優先、ニーズへの柔軟な対応、治安維持におけるパートナーシップ、フィールド中心の国連セクレタリアットの重要性を指摘した。

  • 国連本部リーダーシップの多様性と複雑性。

     

 

セッション1

Mr.Jean-Pierre Lacroix, USG for PKO

  • 警察は人々を保護(プロテクション)し、コミュニティが安全だと感じるようにする業務

  • コートジボアール、リベリアのミッション終了。全てのステップ(エボラ熱を含む)を国連警察が共有。

  • ハイチは治安維持と人権が中心で201710月に最大の人員を配置。

  • 平和活動は政治的解決の糸口が見えない中で活動するようになり、これは大きな課題。

  • 国連警察は常にホスト国のカウンターパートと共に長期的な政治的解決を見据えて活動。

  • 国連警察の直面する脅威は多様化。リソースとマンデートが合うようにする必要性。

  • 事務総長のA4Pイニシアチブでは5つのP(Politics,Performance, Partnership, People, Peacebuilding)を核に。

  • 紛争を防止するのに国連警察の役割は大きい。リソースを含む支援が必要。人材と機材。

  • コミュニティへのロールモデルとしての国連警察。コミュニティをつなぐ役割、特に弱者を守る存在として。

  • SPTは能力のギャップを埋めるために重要なツール。特に犯罪分析、ケースマネジメント、サイバー犯罪、経済的犯罪、法医学、コミュニケーションの分野がより重要に。

  • 要員の安全についてアクションが必要。(クルーズ報告書)国連平和活動要員に対する犯罪において、訴追のためあらゆる措置をとる必要。

  • SGFを共通の認識とし、地域機関、国連加盟国、すべてのアクターが協力することが重要。

 

Mr. AtulKhare, USG for Field Support

  • 70年のPKOの歴史でのべ10億人の要員。現地の状況の変化。

  • クルーズ報告書の勧告を実践して刻々と変化する現地の状況に対応する必要。

  • 技術の進化を利用してリソースを最大限に有効活用。例としてMINUSMAのキャンプ、今年あと4キャンプ設営。監視カメラ。

  • 医療研修と状況認識研修。

  • 現存のギャップは、例えば夜間飛行のできないヘリコプターにより夜間の緊急医療避難ができないこと、また派遣国が要員と共に送る機材に不備。

  • 国連リーダーシップだけでなく国連機関自体にも問題。不足をクリエイティブな方法で充足し、資金を無駄にすることをやめ、サービスを適切に届ける必要。

  • 不法行為は人々の信頼を裏切るので、ZeroToleranceはあらゆるレベルで重要。

  • 男女平等は国連内あらゆるレベルで必要。

  • 継続的に加盟国と対話し、支援を受けて機材、要員の選抜、要員の安全と福祉を向上していくことが重要。

 

Mr.Michel-Ange Gédéon, DG of theHaitian National Police

  • 国連はハイチで7ミッションを展開し、改革、ハイチ警察の強化を行った。20186月でハイチ警察は23周年だが、国連が不在だったのはわずか数年。

  • 国連警察はハイチで平和を支援し、弱者を守り、ハイチが国際的な信頼を得るのに大いに貢献した。毎日の業務と能力開発の両方において。

  • 2014年初頭にハイチ警察の半分が業務を放棄し、同年4月に安保理決議1542に基づいて国連警察が安定化、警察再建、法の支配と公共の治安に従事。

  • 国連警察の助けのもとに、ハイチの警察は3回の五か年計画を立てて機構内の能力開発と改革。途中地震もあったが計画は成功、112全てのコミューンにおいて警察を配備済。

  • 2017-2021の戦略的計画においてはハイチ警察が自ら作成、実施できるまでになっているが、国連警察の恩恵を受け続けている。

  • 国内の安定化において、警察機関を強化することが優先事項である。

  • 基本的な警察業務の遂行の支援から、現在では高官への支援、アドバイスへと性質が変化。国内の治安は改善し、国連警察はSPTを送って支援している。国連警察から既にハイチ警察に権威の移行が順調に進んでいる。

  • ハイチは国連警察の貢献に満足している。

  • 国連警察の課題として、ロジスティック、機材・リソースがある。機材・リソースは現場の状況に対応しなければならないが、例えば車両やヘリコプターが不足している。一方、国連警察による小型ドローンの使用はとても効果的であり、ハイチ警察もこれを取り入れる。

  • もう一つの国連警察の課題は要員の質と技術が派遣国によって大きく異なることである。受入国のニーズに合った質と技術の要員が派遣されるべきである。例えば言語能力は、質の良い警察活動を行うために重要であり、また、現地の文化を知ることで現地の人々と良好な関係を築くことができる。質の良い、また特に女性の警察官を送ってほしい。性的犯罪や人権侵害に対処するためには重要である。

     

    セッション2

    Mr. Alexandre Zouev, Assistant Secretary-General for Rule of Lawand Security Institutions

  • OROLSIの中では国連警察が一番大きな機関で、113か国からの警察長・代表が参加するこの会議は重要。

  • 紛争、紛争の構造の分析を早期に、警察も入れて行うべき。

  • 対話、合意の構築、調停における積極的な国連警察の役割。コミュニティとの対話により紛争の原因となる苦情、不満を発見し、紛争予防に役立てる。

  • リスクを早期に発見し、意思決定のレベルに効果的に進言できるよう研修を。

  • 紛争が起きてから対応する体制を変え、パートナー機関とも協力し、国連警察が国連システム全体への情報提供の中核となるよう、より積極的な姿勢が必要。既にPKO以外でもシエラレオネ、イエメン、ブルキナファソなどで活動。

  • 警察活動は全ての場所で全てのパトロールを担当するのではなく、国家レベルで受入国の警察を再建・再構築することを目指すべき。

 

Mr. AndrewGilmour, Assistant Secretary-General for Human Rights

  • 警察と人権は共に法の支配、司法、人々を支える自然なパートナーである。人権を尊重する警察はより合法性も高く、効果的に警察の業務を執行できる。人権は警察の内外からの監視にも貢献する。

  • 人権は紛争が起こる可能性のある場所でより重要であり、中央アフリカでは現地警察要員の査定を行ったり、各地で能力開発、人権侵害の捜査、選挙違反などについて、国連警察と協力している。全世界において、HRDDPHuman RightsDue Diligence Policy)や警察の行動の改善、強制力を伴わない捜査方法と証拠収集、などについて協力している。

  • 人権担当官と警察官は規律管理にも相互に貢献できる。

 

Ms.Anne-Marie Orler, former UN Police Adviser and Director of the Police Division

  • 犯罪の予防も紛争の予防も成功を測定するのは難しい。複雑化する紛争の中で、国連、加盟国、市民社会が一丸となって紛争予防に努めなければならないが、平和のためのアジェンダには紛争のない国でも紛争予防を組み込んでいくべきだ。

  • 警察は元来事件後に対応し、結果を見せる機関であって、予防は見せる結果がないため予防を優先するのが難しい。

  • 直接的で機構的で制度的な予防を体制に組み込んでいく必要がある。1.コミュニティと市民社会と共にコミュニティ内、またコミュニティ通しの緊張関係を察知すること、2.紛争の原因を察知し受入国の警察の一般市民との関係を改善し信頼関係を築くことを支援すること、3.超国家的・組織的犯罪についてINTERPOLUNODCなどとパートナーを組んで各国が対応できるようにすること、を勧告する。

  • 紛争中の活動は紛争分析に基づき、また、全ての活動はジェンダー分析に基づいて行うべきである。

  • 国連警察は状況分析できる能力があるので、これをミッション共有の状況分析に組み込み、また、特に政治的・経済的な面のある犯罪については情報をミッションの中の経済的分野、政務分野とも共有し、紛争の種について早期に警鐘を鳴らせるようにすべきである。

     

    セッション3

    Mr. Mark Kroeker, formed UN Police Adviser and Director of thePolice Division

  • アカウンタビリティとパフォーマンスに焦点を当て、警察派遣国、国連加盟国、受入国、資金供出国が共に責任を持って協力していくことが重要。

 

Ms. LisaButtenheim, Assistant Secretary-General for Field Support

  • 平和活動において、各アクターが責任を共有し、よりフレキシブルに、高い適応性と明確な意思決定をしていくことが鍵となる。要員の死傷を最小限にすることにも力を入れる。

  • 信頼できるデータ、指標、顧客調査などを元にマネジメント改革やサプライチェーンの統合を進めることが大切である。

  • DPKOから軍と警察のシステム全体で使うパフォーマンス評価ツールを作成した。

  • 2017年にDFSが世界を対象に行った顧客満足調査では72%の国連警察官がDFSのサービスに満足しているという結果が出て、これは前年より4%満足度がアップしている。

  • 要員による不法行為や性的搾取は国連が最も憂慮していることの一つで、メディアは国連の他の事務所などと比べてPKOについてばかり報道しているが、これはPKOが展開する場所の弱い立場にある人々のことを考慮すると納得がいく。国連事務総長は性的搾取の問題について「ゼロ・トレランス」を掲げており、国連はこの問題を撲滅するために特有の責任を負っている。2018年には警察・軍に対してより厳格な査定措置を取り始めた。また、立証された性的搾取の加害者については、以降PKOに従事できないように厳格な追跡システムを確立させている。性的搾取の申し立てに対応するだけでなく、予防することも国連の責任であり、重要なのは申し立て・苦情に防御的姿勢ではなく透明性を持って対処することである。事務総長は被害者の支持をするASGのポジションを初めて作り、ASGがミッションを訪問し、被害者のサポートをするだけでなく各ミッションにも代表を指名する。警察はコミュニティから見えやすいため、現地の人々のロールモデルとして人々との間に信頼関係を築くことが大切なため、国連警察官の行動は大変重要である。このため、データベース、本部職員にも義務付けられているeラーニングプログラム、など、中央に集められて制度的に使用されるツールが重要な役割を果たす。

  • 事務総長はマネジメント改革、フィールドへの分権を強調している。意思決定は、決定される必要のある事項に近いところでされるのが良い。

  • 国連職員・スタッフの男女比は2028年までに50-50%を目指しているが、国連警察は現在女性が10%ほっである。

 

CommissionerLuis Carrilho, Police Adviser and Director of the Police Division

  • 2016年の初めてのUNCOPSでは国連警察を平和と安全保障の分野の中核に持ってくることが合意され、パフォーマンスとアカウンタビリティを改善することが合意されたが、これは全てのアクターの責任である。

  • 2017年の国連警察についての決議はアカウンタビリティ、透明性、効率と効果を謳っている。

  • SGFに沿った雇用と研修が重要。武力の使用については安保理決議が決定すること。

  • 警察部門の長やミッションの長はパフォーマンスに問題がある場合にきちんと対応し、フォローアップすることが重要で、また、指揮責任もしっかり問う。

  • PoliceDivisionとしてはパフォーマンスとアカウンタビリティの徹底に力を入れ、最終的な目的に向かって効果的にマンデートを執行する。

  • 国連警察が現地で行うべく期待されていることをベースに、姿勢、考え方、研修、機材・リソースを整え、国連警察のアカウンタビリティをしっかり確立していく。

 

Mr. AwaleAdbounair, Police Commissioner, UN Organization Stabilization Mission in theDemocratic Republic of the Congo

  • より複雑な現地の情勢、国連とその要員に対する攻撃、などを経て、クルーズ報告書で強調されたのが、国連と要員の意識を現状に適合させる重要性である。現在国連要員に対する攻撃は頻繁に行われており、そのような中で現地にFPUを含む警察を派遣するため、余計に業務遂行と行動規範の両方についてのパフォーマンスを評価することが重要である。

  • 関連して、FPUへの研修、文民の保護について現地の能力を強化すること、厳格なパフォーマンス評価と基準を下回る要員・部隊を送還すること、指揮官が不法行為や業務不執行に対して迅速に対応することが重要だ。

  • 性的搾取については全てのレベルでゼロ・トレランスを厳守することが重要。例えばMONUSCOでは全てのスタッフが義務付けられている追加措置がある。

  • 新しい文脈で行われるPKOにおいて、新しい課題に対応し、ブルーベレーが世界中の平和に貢献できるようにしていく。

     

    ConcludingRemarks

    Mr. Jean-Pierre Lacroix, Under Secretary-General for PeacekeepingOperations

  • 国連警察の業務は増加、複雑化。国連警察は平和構築にも開発のフェーズでも重要で、その業務の鍵はより迅速に責任を持って対応することである。

  • 各国が自国の警察をより強化し、紛争予防における国連警察の役割を認識し、ジェンダー比を全レベルで50-50にし、不法行為に迅速に対処することが重要だ。

  • その上で、国連警察がきちんと装備を持ち、遂行可能なマンデートの遂行に当たり、現代的な技術を駆使し、効果的で責任を持ったリーダーシップのもと、他機関ともパートナーシップを組んで業務を遂行していくことが大切である。


DCAFとの会議 (スイス大使公邸 会食)

DCAF dinner small




























先週末、軍の民主的統制ジュネーブセンター
(DCAF: Geneva Centre for the Democratic Control of Armed Forces)のディレクター、
Thomas Guerber大使が日本を訪れている機会に、
在日スイス大使より、公式ディナーが開催され、
ご招待いただきました。

DCAFは以前より色々な形で注目している機関で、
多くの専門家を抱えて
治安部門改革などを手掛け、
各国の政府にリソースを提供し、
治安部門改革にアドバイス、協力する
専門機関です。
国連警察について
国連の事務総長の改革案の元になる
調査をし、報告を行ったのが、この機関です。
昨年私も訪問して意見交換をしたことがありました。

スイス大使、DCAFディレクターを始め、
総勢18人の日本のSSRに関わる専門家が招待されていましたが、
警察の話はフォーマルなセッティングでは
なかなか出ません。
コーヒータイムに入ってから
DCAFのアジア太平洋局の局長さんと
詳しい話ができました。

国連警察の軍隊化について、
また、
国連警察の刑事的アカウンタビリティではなくて、
マンデートを遂行する、そして
人々に対するアカウンタビリティに関して、
できれば共同研究をしたい専門家の方々が、
DCAFにはいるのです。

フォローアップして行きたいと思います。


国連警察から見える各国の警察事情 研究発表

Area Studies seminar
9月14日木曜日は、
東京大学大学院 地域文化専攻研究集会で
発表する機会をいただきました。
「国連警察から見える各国の警察事情」についてです。

地域文化を研究される先生方に
国連の話をしても良いものか考えましたが、
専門性の高い研究をされている先生方には、
やはり私の専門の分野の話をするのが良いと思い立ち、
国連警察に参加している各国の警察について、
それぞれの事情の考察をしてみました。









国連の抱える問題

来週から立て続けに学会・会議での発表が続きます。

ふと思い出して、確認してみたところ
本年4月に行ったHSPセミナーで

「国連警察の刑事的アカウンタビリティの研究と
国内警察改革現場から見える、国連の抱える問題」
についてお話ししたことを
書いておりませんでした。

国連の刑事的アカウンタビリティの問題も、
警察改革の問題も、
抱える問題の根源に国連の構造的な問題があります。

国連がこれから効率的・正当に機能してゆくためには、
構造的な問題を見て見ぬふりはできません。
これが、来週から始まる一連の発表においても
根底を流れるメッセージになると思います。

ACUNS(国連システム学術評議会)年次会プレナリー発表

ACUNS(国連システム学術評議会)は
国連について研究する研究者と
国連で働いている、または働いていた実務者とが一堂に会する
最大のフォーラムです。

私も毎年年次会に参加していますが、
今年は6月15日から17日、
韓国のソウルで開かれました。
今年はプレナリー(全大会)で発表させてもらえました。

ACUNS Seoul presentation

国連の人権についてのパネルにて、
国連警察の刑事的アカウンタビリティについての発表です。
国連警察が実際に重大な犯罪を犯しているのか、
1990年以降の犯罪について、
ひとつひとつデータを検証し、
それぞれ訴追されているのか調査し、
結果訴追されていないという実情に基づいて、
何が訴追の障害となっているのか、検証しました。
法的には、よく言われるのが国連警察の派遣国が
刑事的管轄権がないのではないか、という点と
国連で働く人員の持つ特権免除についてですが、
85パーセントほどの派遣国について
ひとつひとつ刑法と刑事訴訟法を調べ、
管轄権は訴追を阻む主な理由とはならないことを証明しました。
また、国連警察の持つ特権免除については、
業務と関係ない行為には特権免除がありません。
集めた犯罪行為については
ほぼ業務と関係ないものでした。
特権免除も訴追を阻む主な理由とはなり得ないことが判明したわけです。
ただし、国連が特権免除を使う場合、
その使い方は統制が取れておらず、
また、受入国において特権免除を認める理由として
受入国の人権状況に問題があるということを主張する場合があります。
これは特権免除とは別の問題であり、
別の議論(人権)を持って受入国での訴追を退けるべきであると主張しました。
国際人権法における、捜査と訴追の義務というロジックを持ってすると、
受入国、派遣国、並びに国連に、
それぞれ異なる義務の内容が認められます。

下記のリンクから、日本国際平和構築協会のページには英語でアップしました。
http://www.gpaj.org/2017/06/16/15314
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