年末年始に、 精神疾患を持つ人の社会復帰を助けるNPOに勤めている友人が イタリアに遊びに来て、
彼の 「イタリアの対応を見てみたい」という一言から、
私が友人の看護婦さんに
「どこへ行ったらそういう団体の人と会えるかしら。 視察とかできるかしら。」と送った一本のメール。
その看護婦さんが娘さんの友達のお姉さんにコンタクトを取って、 あれよ、あれよという間に、
ある精神疾患と闘う団体のディレクターさんとのミーティング、
彼らが共同で住んでいるグループホームの訪問、
そして彼らの働く作業所をいくつも訪問させてもらうことができました。

近くのラティアノという小さな町にある、チッタ・ソリダーレという団体です。
http://www.cittasolidalelatiano.it/index.php?option=com_content&task=view&id=3&Itemid=4

イタリアでは近年法律が変わってから、精神病棟というものを廃止し、
患者さんたちを社会にどんどん戻すという取り組みをしてきました。                
 多くの患者さんは、デイケアで 精神科医さんやカウンセラーさんと話をしたり、 色々な活動をしたりして、
夜は自分たちの家族のもとへ帰っていきます。
ラティアノに来て、グループホームで団体生活をしている人たちは、
重度の疾患で家族のもとには毎日帰らない人たち。
症状によって4段階に分かれていて、それもちゃんとひとつひとつステップを踏んで
次のホームに行くようになっています。
6人ずつ、普通の家(とっても立派!)に暮らしています。
家事などは皆で分担してやっています。

驚いたのは、活動の豊富さと、綿密な計画性。
患者さんが入ってきて、症状のアセスメントをする、 そのチェック事項が100以上。
ちゃんと細部にわたってチェックする項目の目的、
チェックの仕方などが説明されたマニュアルのようなものを見せてもらいました。
アセスメントは患者さんと一緒に行います。
それによって、まず3ヶ月の試験的活動。
日課が決められていて、 多岐にわたる運動、作業、音楽などを体験します。
その経過をみながら、精神科医さんと患者さん本人が、 それぞれの症状、得意分野、嗜好にあわせて、
する作業や活動を決めていくプログラム。
非常な充実ぶりです。

活動の内容もよくできています。
ダンス、歌、絵画など、創作的なもの。
お金の使い方、お皿の洗い方など、疾患によって忘れてしまったことを 思い出すプロセスとなる活動。
疾患によって隠れてしまった能力や自信を取り戻すためのステップだそうです。

そうして、それぞれ、社会からお金をもらって品物やサービスを提供する、 「仕事」についていきます。
この団体の下にあるのは、ガラス細工、ケータリング、チョコレートづくり、洗濯やさんなど。
そうやって少しずつ社会との関わりを「普通」にしていくようです。
ガラス細工とか、チョコレートとか、ケータリングも、 プロフェッショナルな仕事をしています。
                          
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(こちらの写真は、このチッタ・ソリダーレのガラス作業所でできたステンドグラス風の窓)

もちろん、
この重度の患者さん用のグループホームでも 皆を少しずつ社会に戻し、普通の家に戻すことを目的としてしているし、
精神病棟も原則無くなったわけなので、
帰る家族、受け入れてくれる家族がなくて困るケース、 どうしても治らないケースなど、あるそうです。

でも、こういうアプローチ、素晴らしいな、
それに、そのアプローチをこんなにちゃんと形にしたディレクター並びに スタッフの方々は素晴らしいな、
と感激してしまいました。

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(こちらは、精神疾患をもつということで受けるスティグマを表した龍です。
6月のお祭りでこれを着たホームの居住者たちが街を練り歩きます。)

そこで、宣言。 1.今度大きなパーティーをするときには、ここのケータリングを利用させてもらいます。
2.今度南イタリアでチャリティなどのイベントをするときは、ここのガラス細工なりクッキーやチョコレートを売るストールをつくります。

南イタリア、プーリアにお住まいの方々も、ぜひここのケータリングサービス、お使いください。
いただいたクッキーはとても美味しかったですよ。

この後、またご縁で今度はデイケアセンターを訪問させてもらいましたが、 それはまた次回!