ACUNS(国連システム学術評議会)は
国連について研究する研究者と
国連で働いている、または働いていた実務者とが一堂に会する
最大のフォーラムです。

私も毎年年次会に参加していますが、
今年は6月15日から17日、
韓国のソウルで開かれました。
今年はプレナリー(全大会)で発表させてもらえました。

ACUNS Seoul presentation

国連の人権についてのパネルにて、
国連警察の刑事的アカウンタビリティについての発表です。
国連警察が実際に重大な犯罪を犯しているのか、
1990年以降の犯罪について、
ひとつひとつデータを検証し、
それぞれ訴追されているのか調査し、
結果訴追されていないという実情に基づいて、
何が訴追の障害となっているのか、検証しました。
法的には、よく言われるのが国連警察の派遣国が
刑事的管轄権がないのではないか、という点と
国連で働く人員の持つ特権免除についてですが、
85パーセントほどの派遣国について
ひとつひとつ刑法と刑事訴訟法を調べ、
管轄権は訴追を阻む主な理由とはならないことを証明しました。
また、国連警察の持つ特権免除については、
業務と関係ない行為には特権免除がありません。
集めた犯罪行為については
ほぼ業務と関係ないものでした。
特権免除も訴追を阻む主な理由とはなり得ないことが判明したわけです。
ただし、国連が特権免除を使う場合、
その使い方は統制が取れておらず、
また、受入国において特権免除を認める理由として
受入国の人権状況に問題があるということを主張する場合があります。
これは特権免除とは別の問題であり、
別の議論(人権)を持って受入国での訴追を退けるべきであると主張しました。
国際人権法における、捜査と訴追の義務というロジックを持ってすると、
受入国、派遣国、並びに国連に、
それぞれ異なる義務の内容が認められます。

下記のリンクから、日本国際平和構築協会のページには英語でアップしました。
http://www.gpaj.org/2017/06/16/15314