日本人の方10人を含む多数の死者を出した

アルジェリアの人質事件。

日本人の被害者の実名を出すか出さないか、

遺族も、会社も、政府も意見が分かれたようだ。


実名を出すことにメリットが感じられないとか、

遺族の方のご心中を察して、とか、

ネットで見ていると実名報道にとても批判的な意見が多いようだ。


私がまず思うのは、

安全で、

言葉も通じ、

24時間開いているコンビニがあり、

サービスもかゆいところに手の届くきめの細かいもので、

どんな料理でも食べられて、

電車は時刻どおりに走る、

そんな心地よい日本の生活をおいて、

ご家族を置いて

アルジェリアくんだりまで

ご自身の技術と経験を生かして

エネルギー資源の開発に貢献してきた、

そんなダイナミックで、有能で、

なんというか、頑張ってきて、

そうしてこんな事件に巻き込まれて

志半ばで亡くなってしまった、

そういう彼らは、実名で、ちゃんとヒーローとして

後の世界にちゃんと記憶されるべきじゃないか。

彼らの技術と経験と人柄、

それを必要とする人がいて、

必要とする世界があったから

彼らはガス生産プラントと居住区の間を

行ったり来たりする生活をしていたんじゃないか。

そういう人たちを、

ちゃんと記憶するべきじゃないか。

名無しの10人の日本人の誰か、じゃなくて、

ちゃんと、どういうお名前で、

どんなお仕事をされていて、

どんな人だったのか、

それをちゃんと「数」じゃなくて「人」として

知るべきじゃないか。


我が家は主人も私も

今まで色いろな紛争地に派遣されて、

紛争後の社会の色々な問題に立ち向かう、

それこそキリマンジャロ山を

みんなでアイスピックで崩すような、

手探りの、たまには前が真っ暗闇の、

そういう仕事をしてきた。

危険と隣り合わせのこともたくさんある。

考えたくないけれど、

もしダンナか私かが犠牲になることがあったら、

残されたほうは、いくら悲しくても、

マスコミから隠れて静かに泣きたくても、

ちゃんと実名を公開して欲しいと言うと思うし、

どんなことをしていたのか、

しようとしていたのか、

ちゃんと報道して欲しい。


もちろん、それでも

マスコミが実名を報道するのに、

「ちょっと待った」ということはある。

ひとつは、絶対に絶対に、

ご家族の方々が被害者の安否を確認する前に

公に報道してはいけないと思う。

もうひとつは、

ご遺族の方々が

実名を報道してほしくない、と依頼した場合。

今回も何人かのご遺族の方が

報道しないように依頼した、とあるけれど、

そういう依頼があるなら、

そして特に、それが故人の望むところであったなら、

それは尊重されていいと思う。


でも、実名を報道するかどうか、というのと、

例えばマスコミがご遺族のところに殺到して

ご遺族にとって辛いインタビューを次々にするとかいう

実名報道後のマスコミの対応の問題とは

別の問題だと思う。

実名報道には合意するけれど、

ご遺族はインタビューには答えません、ということもできる。


亡くなったご本人たちだったら、

どう思われたんだろう。


ご冥福をお祈りいたします。