キハラハント愛の世界漂流徒然日記

国連平和維持活動、国際人権法、治安部門改革の分野で活動する キハラハント愛のブログです。

訃報と命の重さ

1週間ほど前にウガンダから訃報が届いた。

我が家が仕事でウガンダに赴任していた際に
友人から推薦を受けて我が家で働いてもらった、
万能な青年ジェームズ君。
始めは運転手と支払や買い物など外回りを担当してもらうスタッフだったのが、
実はセキュリティガードのマネジメントや
電気やガスなどサービス会社との様々な交渉や立会いにも
めきめきと頭角を現し、
色々と建設的な意見もくれるし
それでいて温厚な性格のため、
我が家のことはほぼジェームズ君に任せきりだった。
私が彼につけたニックネーム:Mr. Do-Everything.

彼のお家は大変貧しかったので、
私たちが引き上げる際には
ガスコンロ・ボンベから水を汲む道具、調理用具などまで、
一式彼に残してきたのだけれど…

その後結婚して子供が生まれて
とても喜んでいたと思ったら、
息子さんが事故死してしまったという訃報。
よく聞いてみると、
安全基準を満たしていないと思われる
電気湯沸かし器で沸かしたお湯で
紅茶を入れていたお母さん。
そのお湯が息子さんにかかってしまい、
お湯に電気が通っていたので
一瞬で感電して亡くなってしまったのだと。

この命は、絶対的な貧困がなければ
失われなかった命だ。

安全基準を満たしていない湯沸かし器を
使わなければ良かったのではない。
それだって、きっと誰かからいただいたものを
ありがたく使っていたのだろうと推察する。
ものすごく働き者のジェームズ君。
色々とアイディアもあるから
電気のコードなども
リサイクルから自分で接続したりして
何とかやりくりしているのだ。

貧富の差の激しいウガンダには、
ジェームズ君のような人はいくらでもいるし、
外国人の家庭で働けたジェームズは
とても幸運だと考えられている。
地元の富裕層に雇われたスタッフたちは
一般に半分以下の賃金で倍以上働かされるから。

貧富の差の大きな社会構造は
なかなか変わらない。
我が家にスタッフを雇うことで
少しでも何人かでも
仕事があるということは、
その家族、親せきまで食べるものに困らないということだ。

それにしても、小さな命が
こうやって地球の向こう側で一瞬で失われたことに
非情を感じる。
命の重さは皆同じなのに
大人になるまで生き延びる可能性は
確実に不公平な配分だと思う。

フィンリー君、どうか安らかに。

日本国際平和構築協会・国連システム学術評議会の平和構築に関するシンポジウム

AKASHIOKAMURAHASEGAWA12月2日(土曜日)、
私が事務局長を務める日本国際平和構築協会(Global Peacebuilding Association of Japan:GPAJ)と
国連システム学術評議会(ACUNS)との共催で
「アフリカでの国連平和活動の新たな挑戦」と名打ったシンポジウムが開催されました。

明石康元国連事務総長特別代表の
カンボジア・旧ユーゴスラビアでのご経験に基づくお話しと、
岡村善文大使の、
国連平和活動のフィールドでのご経験やコートジボアールなどでの
大使としてのご経験に基づくお話しがあり、
大変参考になりました。
特に、私が国連警察について常に問題提起している、
意思決定を行う国連安保理、国連のフィールドと要員を派遣する国との
意識のずれ、意思疎通の不十分さ、装備の不備など、を
軍事要員について鋭くご指摘された大使のお話しは
大変興味深く拝聴しました。
文民の保護というマンデートに
国連加盟国から軍事要員を派遣しても、
その要員を犠牲にしても
現地の文民を守るという決定を
派遣国は現場でできるのだろうか、
どのくらいの割合の派遣国が
そのような判断をできるのだろうか、と、
深く考えさせられました。

事務局長として、企画・運営・連絡・会計すべての責任者ということで、
大変心配でしたが、
おかげさまで外部からも50余名の参加者がいらっしゃる
大きなイベントとなりました。

このシンポジウムのプログラムはこちらです。
発表された内容については、
これからGPAJ/ACUNSのウェブサイトにて
ご紹介していきます。

同日午後には平和構築に関する
GPAJ初めての研究大会を開催しました。
そちらは別途記事にします。

AM sessionUEKISATO


次世代に思うこと

私は心底次世代に期待している。

国連で各国で働いてできたネットワークも、
ご高名な先生方とのつながりも、
これを次の世代につなげることは当然だ。
より良い世界をつくるのには、
確実に次世代も、そのまた次の世代も
皆が協力することが必要だから。

ご高名な先生方と、将来世界に飛び出す学生さん達が
自然に話ができる場を作りたいし、
建設的に議論できる場が欲しい。
教授とか、講師とか、博士とか修士とか、
国連職員とか、外交官とか、
そのような肩書で威張ることもないし、
萎縮することもない。
素晴らしい方々は
威張らなくてもそのご意見や姿勢で
自然と尊敬されるものだと思う。
私自身が心底尊敬する方々は、
皆これ以上ないほどの自然体だ。

大学の先生である私たちが、その研究の成果や
今までの仕事から持つネットワークを持って、
それだけで学生より優位に立つのはおかしい。
言ってみれば先に生まれただけだから。

今、次の世代の学生さん達を見て、
ものすごい原石だなぁ、と思う。
彼らが10年後に
世界中で活躍している姿を確信する。
一点の曇りもなく。

私が東ティモールで
銃弾に倒れた住民を見てから、
恐怖におののきながら
独立を問う住民投票のために山から下りてきた
住民の底力に心打たれてから、
まさに目の前で軍に焼かれている
通訳君の家に
とてつもない罪悪感を覚えてから、
何百人もの人が自分の手の中で死んでいったと言う
東ティモール人の医師の言葉に圧倒されてから、、
四肢を切られた恋人の屍を見て見ぬふりをしたという
16歳の女の子の淡々とした話に言葉を失ってから、
そう、あれから、
もう20年近くになる。

でも、私の心を動かした彼らは、
これほどに鮮明に、心の中に生きている。
結局心を動かした原点は
いつまでも変わらないのだ。

次の世代の皆が、
今、感じていることが、
未来を動かすのだと思う。
それなら、
彼らが感じている何かを、
彼らが目指すどこかにつなげる
お手伝いをしたいじゃないか、と思う。




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